舞台は美しさが優先され、人々が美容に励む近未来。
醜悪な容貌や障害ゆえに迫害を受け虐待を受けてきた7人からなるテロリスト集団<アクション・ミュタンテ>は社会に復讐を誓い、誘拐や殺人を繰り返していた。
ある日、監獄から出所したボスのラモンを迎えてパン製造業の大富豪オルホの娘、パトリシアの誘拐を企てる。パトリシアの結婚パーティーに潜入したミュタンテたちは客を皆殺しにして彼女を宇宙船へ拉致、身代金の引き換え場所である惑星に向かうのだが…。
異端の者たちの闘いと血と愛を描き続ける鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシアの記念すべきデビュー作であり、その才能にひれ伏した巨匠ペドロ・アルモドバルが製作を務めた本作は、『ハイルミュタンテ! 電撃XX作戦』さらには『未来世紀ミュータント』といった邦題での日本公開から30年の時を経て、あらたに『アクション・ミュタンテ 4K』とタイトルを更新し、初の4K版で生まれ変わりスクリーンに投影される!
『未来世紀ブラジル』的カルトSF映画の魅力や『時計じかけのオレンジ』『マッドマックス』もびっくりのバイオレンス描写に『スパイ大作戦』のオマージュ(!?)まで、あらゆるジャンルとブラックユーモアと血をミキサーにかけ、惑星もろともぶっ飛ばす勢いで疾風怒濤、奈落の底まで突き進む、アナーキーSF超怪作の復活だ。
物語を彩るのは次から次に現れる強烈な個性のキャラクターたち、キッチュでポップな衣装、広大な砂漠の惑星、猥雑なバーのロケーション…4K版で蘇るそのディティールは<宇宙芸術>とも呼ぶべき素晴らしさ。そして、強烈なバイオレンス描写と、モラルに揺さぶりをかけるユーモアが全開ながら、根底に流れるのは既存の<美しさ>と体制、権力にとことん牙をむき、あざ笑う反逆精神だ。
狂っているのは社会か、ミュタンテか、我々か?<イイ感じ>にコーティングされた世界をぶっ飛ばした先に奇妙な感動が待っている、世紀の怪作を今こそお見逃しなく!!